出てくる男の9割がクズ野郎だけど!
こういうのが好きな人にオススメ
・ウーマンリブ(←これって死語?)
・堕ちて行く人が見たい。
・禁断の恋
・伝記映画
・『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』が好き。
(わたしの若草物語が太陽なら、本作は月って感じ)
イントロダクション
『フランケンシュタイン』の作者であるメアリー・シェリーを描いた自伝。
メアリー・シェリーを演じるのは、エル・ファニング。
余談ですが、『フランケンシュタイン』おそらく世界で最初のSF小説になるのでしょう。
(有名な話ですが念のために書いておくと、)
フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物を作った大学生ヴィクター・フランケンシュタインの名前だったりします。
ヴィクターは、おぞましい怪物に名前を付けなかったんですんね。
ちなみに、フランケンシュタインの物語も単に怪物から逃げて「わー、きゃー」だけの話ではなく、孤独で醜い怪物が「寂しいから自分の伴侶となる怪物をあとひとり作ってよ」的なさびしい話だったりましす。(←こんなにフランクで軽い話じゃないよ)
キャスト&スタッフ
主演のメアリー・シェリーはエル・ファニング。
けど物語の大半は、旧制ののメアリー・ゴドゥインの名で呼ばれます。
最近は、ウッディ・アレンの『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』に出たり、
『20センチュリー・ウーマン』に出てましたね。
はじめてエルをちゃんと認識したのは『SUPER8』の時。
その時はまだ子どもだったので、大きく成長し、ラブシーンとかこなすところを観ると、
なんだか目のやり場に困ります。
ちなみに本作は女性の権利にまつわるテーマが含まれますが、
その切り口で『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』について、ちょっと語ると……
ウッディ・アレンの#Me too運動に端を発するウッディ・アレンのセクハラ報道で、エルは『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』に出てことを後悔している(らしい)。ギャラも寄付したとか。
Wikipediaの情報なので、どこまで本当か謎だけど。
#Me tooのことは下の記事の最初の方に、ちょっとだけ書いてます。

ちなみに、物語の序盤でメアリーが親戚の家に預けられますが、
そこに出てくるイザベル・バクスターは『ゲーム・オブ・スローンズ』でアリア・スターク役で出ていた、メイジー・ウィリアムズですね。
ちなみにメアリーのパパも『ゲーム・オブ・スローンズ』でスタニス・バラシオンを演じていた、スティーヴン・ディレインですね。
メアリーの旦那さん役含め、他のキャストはよく知りません。。
お初にお目にかかる人ばかり。
あらすじ
19世紀、イギリス。作家を夢見るメアリーは、折り合いの悪い継母と離れ、父の友人のもとで暮らし始める。ある夜、屋敷で読書会が開かれ、メアリーは“異端の天才詩人”と噂されるパーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれ合う二人だったが、パーシーには妻子がいた。情熱に身を任せた二人は駆け落ちし、やがてメアリーは女の子を産むが、借金の取り立てから逃げる途中で娘は呆気なく命を落とす。失意のメアリーはある日、夫と共に滞在していた、悪名高い詩人・バイロン卿の別荘で「皆で一つずつ怪奇談を書いて披露しよう」と持ちかけられる。深い哀しみと喪失に打ちひしがれる彼女の中で、何かが生まれようとしていた──。
公式サイトより
レビュー
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』と非常に似たプロットやなあってのが、第一印象。
ちなみに『若草物語』の出版は、『フランケンシュタイン』よりも50年くらい後。
しかし、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』の主人公が明るい姉妹に囲まれて、楽しい少女時代を過ごしたのに対して、
本作のメアリーは16歳で駆け落ちをします。
しかも、相手は妻帯者。
(夫婦関係はキンキンに冷えてるっぽいけど)
また『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』でも本の出版に一苦労するが、それは本作でも同様。
女性の権利が弱かったんでしょうね。
けど昔を描こうが、現代に作った映画ということは、現代の様子を憂いて作ったんでしょうから、男としては身につまされる思いでございます。
おもしろいのは、フランケンシュタインの執筆に繋がるようなエピソードが各所に散りばめられているところ。
せっかく出産した赤ん坊を死なせてしまったり、科学のショーで電気で死んだカエルの筋肉を動かすシーンがあったりね!
どこまで史実で、どこまで脚色なのかよくわからないけど。
最初に出てくる男の9割がクズ野郎と書きましたが、この映画の世界の空気には整髪料が混じっているのでしょうか?
みんなえらく、髪型が現代風にキメキメです(笑)
エンディング後の話
ちなみに本作のエンディングでメアリーの旦那では、数年後に事故死したことが語れますが、その辺のエピソードが、『君の名前でぼくを呼んで』に出てきます。
水難事故でシェリーは溺死したらしいのだけど、浜辺で火葬する前に死体から友人が心臓を抜き取ったそうですよ。
おれ的評価
おもしろかったんだけど……
何か突き抜けるものがあるかというと、あまりない。
この映画が好きな人へのおすすめ作品
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』
『若草物語』ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的映画。
大傑作。2020年度ベスト級の映画。
『屍者の帝国』
伊藤計畫と円城塔による共作小説。
と言っても、伊藤計畫は若くして夭逝したので、彼が書いたのは冒頭のみ。
フランケンシュタインの死者蘇生技術が、普及したヴィクトリア朝時代のお話。
主人公は、ホームズの相棒ワトソン。
アフガニスタンに屍者の王国を気付いたカラマーゾフ(←『カラマーゾフの兄弟』のカラマーゾフね)を追う、国際防諜小説。
メアリー・シェリーの名前もどこかに出てきたするけど、忘れた。おいおい。
ちなみにアニメ映画もあるが、物語が2時間に収まるようにギュッと圧縮されているので、
あまり好きではない。