劇場公開作品

【火をつけたのは誰だ】原作:村上春樹『バーニング 劇場版』レビュー。

かず
かず
今日は村上春樹原作の映画『バーニング 劇場版』の感想です。
通りすがりの女性
通りすがりの女性
そこそこ村上春樹好きのつもりだったけど、『バーニング』ってはじめて聞いたよ。
かず
かず
本作は韓国の映画で、『納屋を焼く』という短編が原作なんだって。おれもそこまで村上春樹に明るくないから、原作は未読だよ。
おれは、どちらかというと村上春樹よりも村上龍好きだったり……。
これから観る人の楽しみを奪うつもりはないけど、
今回は物語の構成上ネタバレせずに良さを伝えるのが難しいかもしれない

こういう人にオススメ

・村上春樹好き
・ミステリー好き
・文学好き
・脳をフル回転させて映画を楽しむのも悪くないって人

イントロダクション

村上春樹の短編『納屋を焼く』が原作の韓国映画。
どうやらWikipediaを読んでると、NHKが映像化の権利を持っているらしい。
(そして、いろいろ揉めたらしい!)
NHKで短縮版が放送されたらしく、それと区別するために”劇場版”というダサい名前が引っ付いているっぽい。
(短縮版のNHKの方が、別の名前を名乗れよ!)

「ぼくは時々、ビニールハウスを燃やしています。今日はその下見に来たんです」
おもむろにそう語る謎の男。
それと同時に僕の愛する幼馴染は、忽然と姿を消した。まるで煙みたいに。

金持ちと貧乏人の邂逅による事件という点では、『パラサイト 半地下の家族』にも近いものがある。

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キャスト&スタッフ

主演はユ・アイン。
この映画ではじめて観たのだけれど、ググってみると、ふだんはいわゆる韓流の俳優らしい男前。だけど、この映画内では地味ですごく良い顔。

ヒロインであるヘミはチョン・ジョソン。
本作が映画デビュー作品らしいです。

そして「納屋を焼く」ことを趣味とする謎の男ベンを、スティーヴン・ユァン。

ポン・ジュノのオクジャにも出てたけど、
『ウォーキング・デッド』のグレンが有名!

『ウォーキング・デッド』では、「アジア人がいるなあ」くらいにしか思ってなかったけど、まわりがアジア人ばっかりだとこの人めちゃくちゃ男前やなと再認識。(失礼)
グレンもめっちゃ良い役所だったけどね!

監督はイ・チャンドン。
本作でカンヌ国際映画祭やら、アカデミー賞にもノミネートされています。
けっこう寡作な作家さんで、前作から『バーニング』までは8年空いてます。
お名前は存じ上げていますが、作品を観るのは今作がはじめて。

あらすじ

小説家を目指しながらアルバイトで生計を立てているジョンス(ユ・アイン)は、幼なじみのヘミ(チョン・ジョンソ)からアフリカ旅行へ行くのでペットの猫を預かってほしいと頼まれる。帰国したヘミに旅先で出会ったベン(スティーヴン・ユァン)を紹介されたジョンスはある日、ベンに秘密を打ち明けられ、恐ろしい予感が頭から離れなくなる。

レビュー

すっごくレビューを書くのが難しい!

これから観る人の楽しみを奪いたくはないけど、ネタバレなしに良さを伝えるの難しい。

・お宝を手に入れる!
・復讐を果たす!
・恋が成就する!

みたいな明確な目的があって、そこを目指して話が進む映画じゃないんだよね。
最初から最後まで、謎が謎を呼びながら話が進んでいくんだよね。

ミステリー風味

2時間半くらいあるんだけど、丁寧で見応えのある描写の積み重ねでまったく飽きさせません。
それ単体で興味深いエピソードが、後半で起きる出来事になっていたりするんだよね。

たまに大風呂敷を広げて全く伏線を回収できない作品があったりするけど、本作はその逆。

「あれ伏線やったんかーい!観ていて気持ちいぃ」みたいな感じ。
物語の構造が気持ちいいだけで、話自体は最後まで暗いんだけどね。

雰囲気も最高。

その暗い雰囲気を盛り上げるのがBGM。
鳴ってる音楽が、ほぼミステリーやホラー映画のそれです。

全体的に映像も暗め。

だけど韓国の田舎の風景、特に朝焼けやトワイライトタイムの切り取り方の美しさは最高。
ヘミ(ヒロイン)が大麻で酩酊して素っ裸で踊りはじめるところで、日が暮れて行く田舎の風景を写す神秘的なシーンは映画館で味わいたかった。

ちなみに村上春樹の作品って、”別々の世界が徐々に近づいて行く”みたいなモチーフがよく出てくるじゃん。
その要素は本作では薄めかも。

おれの貧弱な文章力を駆使して、物語になるべく触れずに書いてきたけど、このあたりで限界だ。

キャラクター紹介と気付き。

ジョンス(主人公)
小説家志望の男。
ところが劇中では小説を書いている雰囲気一切なし。
文学好きではあるのだろうけど、無職と名乗る勇気がないのかも。
プライドが高いのかもね。

旅行中にヘミ(ヒロイン)の家の猫の餌やりを任せられるのだが、ヘミが不在なことをいいことに、女子の家で”一人でいたす”シーンがある。たぶんあれで所有欲とか独占欲を満たしているんだなあと思ったり。

母親や姉は家を出て行っており、父親も裁判沙汰の事件を起こしている。
親しい友達が出てくる様子もなく、かなり孤独な様子。
ヘミのことを愛しているが、ヘミはベンになついている様子。

ヘミ(ヒロイン)
ジョンスのかつての同級生。
ワンルームマンションに住む。バイトで食いつないでいる様子。
どうやらクレジットカードによる借金があり、家族にも勘当されている様子。
ジョンスとおなじく孤独な人間。

ベン(謎の男)

柔和洗練されており、社交性もあるが、どこか掴み所のない男。
仕事も謎だが、若くして高級マンションに住み、ポルシェを乗り回している。

「昔からの趣味で、ビニールハウスを焼く趣味がある」と主人公だけに打ち明ける。

主人公の家の近所のビニールハウスを焼いたらしいのだが、ビニールハウスが焼かれた形跡はない。その発言と同時に、ヘミが煙のように姿を消す。

劇中ではフォークナーの小説が引き合いに出されることが多いが、ジョンスが焼け落ちたビニールハウスを探す様子は、個人的にはフランツ・カフカの『城』を思い起こさせたかも。

とある寒村の城に雇われた測量師Kが、しかしいつまで経っても城の中に入ることができずに翻弄される様子を描く。

フランツ・カフカ『城』

wikipediaより引用

また、ほぼすべての登場人物が喫煙者という不思議な映画。
『バーニング』=”火”に通じるものがあるね。
火を自分に向けるか他人に向けるかで、善と悪の境界線を描いているんだと思う。

劇中で、明確に自分以外に火を放つのは、あのビニールハウスと最後のクルマだね……。

おれ的評価

かず
かず

おれはすごく好き!ふだん村上春樹の小説はあまり好きじゃないんだけどね。

この映画が好きな人へのおすすめ作品

『裏切りのサーカス』
東西冷戦下を舞台にした、身内のスパイを探すスパイ映画。
原作とちがって、映画版は何が起きているかよくわからない。(いい意味で!)
雰囲気がいちばん近いのは、この映画かもしれない

『モンスター』
浦沢直樹原作の漫画。
天才外科医Dr.テンマは重症の少年ヨハンを助けたところから、周囲で変な事件が起こりはじめる。『バーニング』のベンは、『モンスター』のヨハンが近いかもしれない。

予告編

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