ですが実際に観たら印象が変わったよ。
映画館のスクリーンで見ると、映像の美しさにうっとりしてしまいました。
しかも監督は、アジア系のクロエ・ジャオさん。
自己紹介
映画はストーリーのみが語られることが多いですが、監督、俳優、音楽、映像など全方位から語ることをモットーにしています!
このブログで映画全般の知識をあなたに!
極力ネタバレなしで、感想を書いています。
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こういう人にオススメ
・美しい映像が好き
・ピアノやストリングスの美しい調にうっとりした
・普遍的だが神話的なストーリー
イントロダクション
ノンフィクション『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』を原作とした映画。
映画通好みの映画を作ることで定評がある、”サーチライト・ピクチャーズ”の作品。
ちなみに元は、フォックス・サーチライト・ピクチャーズという社名でしたが、
21世紀フォックスがディズニーに買収されたことにより、社名が変わりました。
あらすじ
リーマンショック後、企業の倒産とともに、長年住み慣れたネバダ州の企業城下町の住処を失った60代女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)。彼女の選択は、キャンピングカーに全ての思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。その日その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく。大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、そこで描かれる実在のノマドたちとともに見つめる今を生きる希望を、広大な西部の自然の中で探し求めるロードムービー。
Filmarksより
キャスト&スタッフ
主演のファーンを演じるのは、フランシス・マクドーマンド。
『スリー・ビルボード』の好演が記憶に新しいですが、あの映画って2017年の映画なのね。
本作ではプロデューサーも兼任しています。
プロデューサーなので、後述する監督のクロエ・ジャオを抜擢したのものこの人。
この映画の完全に最高権力者ですね。
そこまで自分で座組みを組んで、作品が様々な映画賞を獲り、アカデミー賞の候補になるんだからカッコ良すぎる。
ちなみに旦那さんは、映画製作者コーエン兄弟のお兄ちゃんの方ジョエル・コーエンです。マクドーマンドは、コーエン兄弟制作の『ファーゴ』にも出てるよ。
他に出ている役者として、デヴィッド・ストラザーン。
役目もデヴィッド。最近だとハリウッド版のゴジラシリーズに出ていたりします。
他にも登場人物はたくさん出てきますが、紹介できる人はこの二人くらい。
なぜなら車上生活者の方たちは、俳優ではなく、本物の車上生活者!
スタッフロールの役者の欄が、面白いことになってたよね。
役名と俳優の名前が同じっていうのが、ずっと続くっていう!
監督は、クロエ・ジャオ。
名前の雰囲気からもわかる通り、アジア系の女性監督です。
『ザ・ライダー』という映画(すいません未見です)でマクドーマンドに見出され、本作の監督をするに至っています。
ちなみにアンジェリーナ・ジョリー主演の、
マーベル・シネマティックユニバースのフェイズ4『エターナルズ』の監督にも抜擢されています。
公開予定は2021年11月!
(最初は2021年の2月公開予定だったんだけどね。おのれコロナめ!)
地味めのドラマ映画からマーベルのアメコミ映画にヘッドハンティングされるのって、
『コップ・カー』と撮ったジョン・ワッツが『スパイダーマン:ホームカミング』に抜擢されるような感じだよね。
レビュー
映像が美しい
USジプサム社の倒産に伴い企業城下町だったエンパイアは廃れ、やがて郵便番号も抹消された。
そんな不穏なエピグラフからはじまる映画だが、痛ましいシーンなどはなくただひたすらに美しい映画だった。
広角レンズで雄大な自然の映像を切り取り、ルドヴィコ・エイナウディの作り出す美しいピアノとストリングスのメロディが印象に残る。
これは憶測ですが、照明をあまり使ってないんじゃないでしょうかね?
映像の感じがイニャリトゥが監督し、ディカプリオ主演の『レヴェナント』に似ている気がします。
バッファローがのっしのっしと歩き、水鳥が夕暮れの空を横切っていく。
そんな自然の営みの景色を主人公が美しいを独り占めしていて、車上生活者の生活も悪くない気がします。
基本は肉体労働
主人公のファーンがAmazonの倉庫で期間工として働くシーンがあるのだが、過酷な感じがあまり伝わってこない。
実際はAmazonの物流倉庫の労働のブラックさがニュースになってたりするけどね。
そういう社会の闇にメスを入れるのは、ケン・ローチ監督の仕事(『家族を想うとき』)として置いておいて……。
今作のファーンは肉体労働に対する嫌悪感がないってことで、そこには触れない作りなのかも。
命に関わるようなトラブルも起きないので、ちと美化しすぎなきらいはあるが。
車が家になっていく
物語冒頭では、ファーンの屋外での排泄シーンがある。
大女優家がお尻丸出しで体張ってるなあと思ったのだが、その何気ない前フリとなっていたりする。
途中でトイレ問題に関して、ノマド同士で知識交換をするシーンあるんだよね。
(ちなみに水浴びするシーンは全裸を披露。すごい女優魂)
そして車上生活者のノマドといっても、決して文明生活を否定しているわけではない。
Facebookで逐次情報を交換しているし、SNSを駆使して集まって知識や物資を交換し、焚き火を囲んで歌をうたっている。
結局のところ人は群れて生きる生き物なのだ。
それぞれの人によって程よい距離感がちがうわけで、ノマドたちはたまに集まっては離れを繰り返すのが程よい距離感なのでしょう。
豪邸に住みたい人もいるし、豪邸までは不要。
持て余すからそこそこの家でいいやって人もいる。
その家の大きさのグラデーションの中で、そのサイズ感が人より小さくて車で満足しちゃう。それがノマドなのでしょう。
まあアメリカ全土の自然を庭扱いとするスケールの大きさも感じるけど。
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実は行きて帰しの物語
村上龍の『55歳のハローライフ』という小説の中に、早期退職してキャンピングカーを購入して全国を旅することを目論むおじさんの話がある(ドラマではリリー・フランキーが演じていたよ)。
そんな壮年によるモラトリアム延長戦を描いた話かと思いきや、典型的な”行きて帰しの物語”構造を持っていることに気づいた人はいるだろうか。
乱暴に説明すると、”行きて帰りしの物語”というのは指輪物語とかに代表される物語の典型的な型のこと。
その名前の通り、行って、旅の過程で成長し帰ってくる話。
『マッドマックス 怒りのデスロード』や『千と千尋の神隠し』もそうだし、実はよしもとばななの『キッチン』だってそうだったりします。
ちなみに”行きて帰りしの物語”には仮の家というキーワードもある。
今作だったら、車中泊するファーンの愛車そのものが仮の家という扱いになる。
(ちなみに『マッドマックス 怒りのデスロードも車が仮の家だね』)
御使いうたいて
ファーンが運転中に口ずさんでいる歌は、『御使いうたいて』というクリスマス・キャロルです。
グリーン・スリーブスのメロディなんだけど、歌詞がちがったよね。
季節感を表す意味もあったのだろうけど、そのキリスト教的な歌詞世界と行きて帰しの物語の相乗効果で、神話的で荘厳な印象を受ける映画でした。
おれ的評価
最高です。今のところ今年観た映画ではベストです
この映画が好きな人へのおすすめ作品
『レヴェナント 蘇りし者』
美しい情景描写を観ていたら、この映画を思い出しました。照明を一切使わず、自然光のみで撮っているというこだわりの一作。
音楽は教授こと坂本龍一。
『レッド・デッド・リデンプション2』
映画じゃなくてゲームです。
これも美しい風景や、キャンプで日常シーンが印象的。
ゲームなのに朝日を浴びながらコーヒーを飲むのがたまりません。
予告編
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